コラム

めくるめくウズとの日々 Vol.4

医学博士&獣医師の佐々木先生が綴る犬のおはなし

4回目犬めくりイラスト原本

何といってもしつけの基本はオスワリですな

愛犬ウズのしつけについてお話しする前に、犬という動物についてヒストリーを少々...。

4,000万年前頃に犬の祖先は、森林から草原に生活の場を移しました。大小の草食動物を獲物にするためです。この時から力を合わせて獲物を捕まえるために群れで生活するようになりました。群れで生活するためにはリーダーが必要です。それでリーダーの指示に従って生活するようになり、現在の犬はそのDNAを受け継いでいるんです。1万2,000年前に、最初の家畜として人が飼ったオオカミが現在の犬になったと言われとります。猟犬、番犬、食物源、夜に暖を取るために飼われました。

翻って現在。
飼い主が愛犬に信頼されるリーダーだと、ふだんの愛犬との生活が非常にスムーズに送れるんです。また、老犬になって介護が必要となった際にもきっと役立ちます。そのため私は、愛犬のためにもなると、心を鬼にしてしつけを徹底してきたんです。

3カ月齢で家に来た時から、愛犬ウズには食事の時を利用して「オスワリ」を教えました。「オスワリ」を覚えると、「オテ」、「オカワリ」、「フセ」なども次々覚えることができたんです。このように、しつけの基礎中の基礎は「オスワリ」だと思っとります。犬を迎えたらすぐに教えることが重要で、どの犬も「エサ」が好きやと思いますので、食事の時にしつけることも一つのポイントでしょうか。ウズは食事以外に、「散歩」「抱っこ」「おやつ」などが大好きなので、しつけの際にこれらをご褒美にもしてました。(わが家の場合は、歩行訓練と「マテ」「オイデ」は、しつけの先生に教わりました~)

ウズとの生活から実感するに、「オスワリ」は、愛犬との日常生活をスムーズに続けるために大変役立ちますので、飼い主さんはどうぞ頑張ってください。焦らずに気長に続ける事が大切です。
次は、ウズの「歯磨き」についてお話する予定です。

【犬の体のプチ知識】うまくオスワリできないときは、病気かも!?

愛犬が「オスワリ」を教えているのに、なかなかうまく座れない、後ろ足を斜めにした「お姉さん」座りをしてしまう場合、「クセが強い~」では済まされないことも。
そんなふうに愛犬がうまく座れないのは、股関節形成不全かもしれまへん。これは、股関節を作っている寛骨(かんこつ)にある凹み部分の関節窩が浅かったり、大腿骨の凸部分の関節頭が平たかったりして、骨同士がうまくかみ合わなくなり、関節に炎症が起きる病気です。遺伝的要因が大きく、とくに大型犬の生後4カ月から1才頃に多く発症するといわれますねん。

愛犬に「オスワリ」を教えても、うまく座れない、または今まで座れていたのに急にうまく座れなくなった場合は、すぐ獣医師に相談しましょう。

参考:『楽しい解剖学 ぼくとチョビの体のちがい 第2版』学窓社


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イラスト・文佐々木文彦 先生

大阪府立大学名誉教授、医学博士、獣医師。
愛犬はウズくん(オス/14才/ビーグル)
おもな著書は「楽しい解剖学 ぼくとチョビの体のちがい 第二版」(学窓社、2018)

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