コラム

めくるめく猫たちとの日々 Vol.2

医学博士&獣医師の佐々木先生が綴る猫のおはなし

猫めくり2回目最終

猫の耳と憧れの先生の想い出

猫の顔の特徴は、なんといっても頭の割に耳が大きいことです。

軟骨と皮膚でできている耳介(いわゆる"耳"のこと)が、とても大きく、自由に動かすことができます。恐怖を感じると耳を倒すなど、猫の感情は耳に出ます。
そんな猫の耳で思い出すのが、私が小学生のときの担任だった、青木先生のことですわ。授業で、確か猫の話しはったときに、「人の耳は動きませんが、猫の耳は動きます」と言わはりました。
さらに、「じつは私の耳も動きます」と、生徒たちの前で耳を動かしてくださったのです。当時、生徒の憧れだった青木先生が耳を動かして見せてくれはったことに、みんなは驚いたり、感動したりで...懐かしい思い出です。

かくいう私も耳を動かすことができるんです。
先生を真似て、みんなの前で耳を動かしたこともあるんですわ~。ふふふ

さて、猫の耳はクルクルよう動きますが、これは、両方の耳を動かして獲物のネズミのいる位置を測っているんです。猫の耳を動かす筋肉は、人と比べて多くて長いんです。猫は、目を閉じたり、唇を閉じたりする筋肉と同じように顔面神経が働きます。
人は、耳を動かす筋肉も神経も退化して動かすことはできまへん。青木先生や私や、他にも「耳が動かせる」という人は、耳の筋肉を直接動かしているわけではありまへん。額を動かしたり、瞼を上下したりする筋肉を動かして、これらの筋肉とつながった耳の筋肉を動かすことによって、人は耳を動しているのでした~。

【猫の体のプチ知識】内耳のアレのおかげで着地は満点!

猫は、高所から落ちても、瞬時に体勢を変え、体操の内村航平選手さながらにちゃんと着地を決めることができます。それは、耳の中の内耳にある三半規管に関係があるんです。
猫は平衡感覚を司る三半規管と、運動の反射に関連する小脳が非常に優れてます。頭の動きをいち早く三半規管で感じ、小脳で姿勢を調節することによって、猫は仰向けで落ちても、立ち直ってしっかり着地ができるというわけなんです。

参考:『楽しい解剖学 猫の体は不思議がいっぱい』学窓社

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イラスト・文佐々木文彦 先生

大阪府立大学名誉教授、医学博士、獣医師。
愛犬はウズくん(オス/14才/ビーグル)
おもな著書は「楽しい解剖学 猫の体は不思議がいっぱい!」(学窓社)

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