コラム

めくるめく猫たちとの日々 Vol.4

医学博士&獣医師の佐々木先生が綴る猫のおはなし

猫めくり4回目イラスト原本

「猫まんま」についての考察

みなさんは、「猫まんま」をご存知ですか?

「猫まんま」とは、お米のご飯にカツオブシを振りかけたもんで、今では想像できないかもしれませんが、私の子供の頃は代表的な猫の食事でした。

当時、わが家の猫がもらっている「猫まんま」を見て「質素すぎるな~」と思ったもんですわ。ですが猫好きの母に聞くと「これが猫ちゃんの一番のご飯なんよ」と言うとりました。戦後の、皆が貧しかった時期ですので、現在の晩ご飯に比べると質素ですが、私が頂いてたもんは、魚や肉や野菜等のおかずがついていたんで、「猫まんま」のご飯だけで、猫が元気に毎日を送っていたんが、不思議でした。

一方、当時家の中にバッタ、キリギリス等の昆虫の死がいがあり、雀の死がいも見たことがありました。母に聞くと、「猫はネズミやヘビも持って帰ってくるんよ」と言うてました。その頃の私は、質素な「猫まんま」と昆虫やネズミの死がいとは何の関連性もないと思ってましたが...。


そして現在。

キャットフードは、猫に栄養が行き届く量の炭水化物、タンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルが入ってますよね? そこで見事に「猫まんま」と昆虫の死がいが結びついた、ちゅうわけです。肉食の猫は、敗戦後の貧乏な時代に(もちろんもっと前の時代からですが)「猫まんま」に文句も言わず(?)、自力で栄養を補っていたわけなんです~。

【猫の体のプチ知識】嗅細胞がある上皮の面積は人の約6倍!

猫は、犬ほどでないにしても、人に比べて嗅覚がすぐれてます。その理由は、もののニオイを判断する嗅細胞が多いからです。嗅細胞が並ぶ嗅上皮の面積で換算すると、人は約5㎠ですが、猫は約30㎠になります。ちなみに、犬は猫のさらに5倍くらいといわれてます。

これだけでも猫の嗅覚が人よりめっちゃ優れていることがわかりますよね。単独行動で生きてきた猫は、自らの身を守るためにこうした嗅覚も駆使しておりますねん。

参考:『楽しい解剖学 猫の体は不思議がいっぱい』学窓社

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イラスト・文佐々木文彦 先生

大阪府立大学名誉教授、医学博士、獣医師。
愛犬はウズくん(オス/14才/ビーグル)
おもな著書は「楽しい解剖学 猫の体は不思議がいっぱい!」(学窓社)

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